【要旨】
パナソニック株式会社 エコソリューションズ社は、世界最高効率(※1) 114 lm/Wの白色有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)素子を開発しました(発光面積1cm²)。発光面積25cm²(写真)においても、110 lm/Wの高い発光効率を示しました。高い発光効率の有機EL素子を開発するにあたり、当社は、「光取り出し」技術と「有機発光層の多層化」技術に着目し、開発を進めました。
【効果】
有機EL素子は電圧をかけると赤、緑、青などの色に発光する有機材料を組み合わせることで白色を含めたあらゆる色の光を発することが可能なデバイスです。面でやわらかく光るために広い範囲を照らすことに適しており、また、直視してもまぶしくない、薄くて軽いなどの長所も同時に備えるため、次世代の新しい光源として注目されています。本開発で得られた高効率素子を用いた有機EL照明器具は、現在市販されている蛍光灯器具(約60~80 lm/W)やLED照明器具(約80 lm/W)と同等以上の発光効率が得られると考えられ、一般家庭用照明も含めた幅広い分野への応用が期待されます。白色有機EL照明によって彩られた空間は、日々の暮らしにあかりの新しい価値を提供し、快適でエコなライフスタイルを実現する可能性を秘めています。
【特長】
本開発は以下の特長を有しています。
1:有機ELから取り出される光を従来(※2)の2.5倍(光の取り出し効率約50%)に増大
2:高効率と長寿命(素子寿命10万時間以上(※3))を同時に実現
【内容】
本開発成果は以下の技術によって実現しました。
1:フィルム、ガラス、空気の配置が最適になるように積層することで、有機EL素子内への光の閉じ込めを抑制したビルドアップ型光取り出し基板(BLES: Built-up Light Extraction Substrate)技術。
2:高効率のリン光材料を用いた有機発光層を適切に多層化することで、高効率と長寿命を同時に可能にした有機発光層の多層化技術。
【従来例】
有機EL素子の発光層は、一般的に基板に用いられるガラスや空気よりも光の屈折率が高いため、内部で反射して閉じ込められてしまう光が多く、全発光の20%しか外に取り出せていませんでした。光の取り出し効率を引き上げるために、ガラス表面に貼り付ける光学フィルム技術や、有機EL素子と基板の間に散乱構造を設ける技術など様々な技術開発が行われていますが、光の取り出し効率は約30~40%程度に留まっていました。
【特許】
国内30件、海外17件(出願中を含む)
【備考】
本開発技術は、5月21~24日(現地時間)に開催されるディスプレイ分野で世界最大の国際会議The Society for Information Display(SID) 2013において、講演します。本件は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて2010年3月より推進している「次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発プロジェクト」の技術開発成果であり、出光興産株式会社、タツモ株式会社、長州産業株式会社、国立大学法人山形大学、青山学院大学と共同で実施しています。また、本開発で使用している高効率リン光材料は、米国のUniversal Display Corporationからの提供によるものです。
※1:正面輝度1000カンデラ毎平方メートルの明るさで駆動したときの、投入電力1ワットあたりの光束(単位:ルーメン)、パネルの厚み2mm以下(2013年5月20日現在 当社調べ)
※2:本技術を非適用の当社素子
※3:正面輝度1000カンデラ毎平方メートルの明るさで駆動したとき、輝度が半減する時間
【お問い合わせ先】
エコソリューションズ社 宣伝・広報グループ 東京・大阪広報チーム
TEL:06-6908-1131(受付8:45~17:30)
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