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日本ガイシ 緑色LEDの発光効率を約2倍に高める窒化ガリウムウエハーを開発

2012.10.31
ダブルクォーテーション

2012年10月30日
日本ガイシ株式会社

緑色LEDの発光効率を約2倍に高める窒化ガリウムウエハーを開発



日本ガイシ株式会社(社長:加藤太郎、本社:名古屋市)は、独自に改良した結晶育成技術を用いて欠陥を大幅に低減し、緑色LED(発光ダイオード)の発光効率を従来比約2倍に高める高品質な窒化ガリウム(GaN)ウエハーを開発しました。

当社が開発したGaNウエハーは、単結晶育成技術である液相成長法を独自に改良することで、直径2インチのウエハー全面にわたる低欠陥密度と無色透明の両立を実現しています。

このたび、名古屋大学との共同研究で、当社製GaNウエハー上に発光部を形成した緑色LED素子を作製し発光試験を実施した結果、市販の緑色LED素子の約2倍にあたる60%の内部量子効率※1(注入電流密度1平方センチメートル当たり約200アンペア時)を達成しました。この成果は、10月14日から19日まで北海道札幌市で開催された「窒化物半導体国際会議(IWN2012)」で共同発表しました。

従来のサファイヤウエハーを基板に用いたLED素子の場合、特に緑色では発光部の欠陥が多く、大電流を流すことができないため、十分な輝度を得ることができませんでした。それに対し、欠陥を大幅に低減した当社製GaNウエハーを基板に用いると、発光部の品質が大幅に向上し電流損失を減らせるため、大電流を流すことができ、高輝度の緑色LED素子を実現できます。この素子を用いて緑色LED光源を構成すると、同じ素子数であれば従来に比べて20倍以上※2の明るさが得られます。また、電流損失による発熱が少ないため、放熱機構の簡素化により光源を小型化できます。さらに、熱による劣化が抑制されるため長寿命化も可能となります。

高輝度の緑色LED光源が実現することで、高輝度LED光源に光の三原色(赤、緑、青)がそろうため、プロジェクターなどの映像用途を中心にLEDの新たな用途開発が進むことが期待されます。

2012年4月25日に発表した青色LED用途に続いて今回、緑色LED用途もめどが立ったことから、今後は、ハイブリッド自動車や電気自動車用のインバーター、無線通信基地局用パワーアンプなどのパワーデバイス用途も視野に入れ、GaNウエハーのさらなる欠陥密度の低減と直径6インチ以上の大口径化を進めていきます。

すでに直径2インチのサンプルの出荷を開始しており、2012年中に4インチのサンプル出荷も開始します。製造能力を現在の月産200枚(直径2インチ換算)から2012年度中に月産1000枚以上に引き上げる予定です。2014年までに、LED用途やパワーデバイス用途に向けて直径2インチから6インチまで幅広い製品ラインアップをそろえる計画です。

※1 内部量子効率:LEDに流す電子の個数(電流)に対して、LEDの発光層内で発生する光子の個数を割合で示したもの。この値は発光層の結晶欠陥密度によって決まり、100%が理想的な値となる。

※2 20倍以上:例えば、従来比2倍の内部量子効率を持つLED素子に10倍の電流を流せる場合、2倍×10倍=20倍の明るさが得られる。

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