エレクトロニクス分野の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的半導体メーカーで、マイクロコントローラ(以下マイコン)の主要サプライヤであるSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、8bit・16bitアプリケーションにハイエンド機能を提供する32bitマイコンSTM32 F0シリーズ(2012年3月発表)の量産を開始しました。
現在、ユーザは、専用開発キットであるSTM32F0 Discovery Kitを含め、STM32の広範な開発エコシステムを利用できます。STでは、新しいARM(R)Cortex(TM)-M0搭載マイコンをベースとし、コスト最適化を重視したコンスーマ・産業用機器を開発する上で必要なものを全て取り揃えています。
STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるMichel Buffaは、次の様にコメントしています。「STM32 F0シリーズの量産が予定通りに開始されたことにより、STのお客様は、価格競争力に優れ、性能・価値が強化された低電力機器を他社に先行して開発することができます。」
ユーザはSTM32F0 Discovery Kitを購入することで、STM32 F0を利用した新しい開発プロジェクトを始めることができます。この開発キットには、PCのUSBポートに直接プラグ・イン可能なプッシュボタンとインジケータLEDを実装した試作用マイコン・ボードが含まれており、デモ・コードおよびサンプル・ファームウェアも用意されています。また、主要開発キット・ベンダ各社(Atollic社、IAR社、Keil(TM)社、TASKING社)のSTM32ソフトウェア開発環境との互換性もあります。
STM32 F0シリーズは、先端の32bit組込みプロセッサ・アーキテクチャARMCortex-M0を搭載しているため、ユーザは、独自コアを利用した8bit・16bitマイコンによる従来の価格・性能の限界を打破することができます。また、STM32ファミリ(Cortex-M0、Cortex-M3、Cortex-M4搭載マイコン)内の300品種以上の製品とソフトウェア / ペリフェラル / 開発ツール / ピン配置に互換性があるため、柔軟性および拡張性が強化される他、新製品の開発コストの低減ならびに製品開発期間の短縮に貢献します。さらに、STM32 F0シリーズは、その他のCortex-M0搭載マイコンにはない高付加価値機能を搭載しています。
ARM Cortex-M0搭載STM32 F0シリーズの特徴
STM32 F0シリーズには、生活家電向けのClass-B業界安全規格への準拠を容易にし、リアルタイム・アプリケーションの性能を強化する、ハードウェアRAMパリティ・チェック機能が内蔵されています。また、アプリケーションの信頼性を強化するClock Security System(CSS)も搭載されています。さらに、デッドタイム生成と反転チャネルを備えた高度なタイミング機能は、モータ制御の設計における一般的な課題の解決に役立ちます。
また、STM32 F0シリーズは、ハードウェアによるタッチ検知制御と、一部の競合製品の2倍以上の速度での変換(最大1Mサンプル/s)が可能な12bit ADコンバータの他、12bit DAコンバータや厳密にマッチングされたプログラマブル・アナログ・コンパレータ(2個)も搭載しています。低価格マイコン・ファミリにこれらの優れたアナログ機能を集積することで、ユーザは複数チャネルにわたる高精度かつ高速な検知・制御を必要とするアプリケーションの開発が可能になります。
さらに、CEC(Consumer Electronics Control)ハードウェア・モジュールを搭載しているため、最新の業界標準プロトコルを使用したホーム・マルチメディア機器への接続が可能になると共に、マイコンのCPU、メモリ、およびペリフェラルが解放され、他のタスクの実行が可能になります。
省エネルギー性を重視しているSTM32 F0シリーズには、STOPモード(5.3μA)とSTANDBYモード(2.8μA)(共にリアルタイム・クロックは動作状態)、を含む4種類の低消費電力モードがあるため、リモコン、センサ・ネットワーク、スマート・メータ等のアプリケーションへの展開が容易であると同時に、バッテリの長寿命化を可能にします。
高性能通信機能には、最大16bitのプログラマブルなデータ・フレームおよび最高18Mbit/sの通信速度に対応するSPI(Serial Peripheral Interface)と、最高1Mbit/sでFast mode+通信をサポートするI2Cポートが含まれています。また、I2Cポート上のアクティビティによりアドレスが一致したマイコンをSTOPモードから起動することができます。
その他、さらなる優位性としては、制約の減少や、通信クロック設定の簡略化が挙げられます。プログラマブルなアナログおよびデジタルのノイズ・フィルタ処理により、堅牢な通信が保証されます。複数のクロック入力オプションがあるため、メイン・プロセッサのクロック周波数とは独立した動作が可能なUSART(6Mbit/s)も内蔵しています。
価格および入手状況
STM32 F0は現在量産中で、Flashメモリ(16KB~64KB)およびSRAM(4KB~8KB)を内蔵しており、現在3種類のパッケージ(UFQFPN32、LQFP48、LQFP64)で提供されています。20ピン・パッケージ(内蔵Flashメモリ:16KB)および100ピン・パッケージ(内蔵Flashメモリ:128KB)の製品も近く追加される予定です。単価は1000個購入時に約0.95ドルです。
STM32 F0 Discovery KitはSTのセールス・オフィスおよび販売代理店から入手
可能で、価格は7.99ドルです。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、Sense & Powerおよびマルチメディア・コンバージェンス分野の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュリティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンにおいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。2011年の売上は97.3億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( http://www.st-japan.co.jp )をご覧ください。
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