発光ダイオード(LED)関連製品を製造・販売するエクセル(広島県福山市、瀬来和男社長)は中国電力の研究所と原子力発電所向けのLED照明器具を共同開発し、販売を始めた。原発で使われている水銀灯に比べて耐用期間が約3倍の4万時間で、交換の手間が減り消費電力も25%少なくなるという。このほど中国電力の島根原発向けに納入、他の電力会社にも売り込む。
エクセルが中国電力エネルギア総合研究所(東広島市)と共同開発したLED照明器具は、原子力発電所内部の天井などに据え付ける。
高さは305ミリ、幅380ミリ、奥行き210ミリ、重さが11キロで、光源として700個以上のLEDを使用した。
長寿命のLEDを使い、回路を工夫して故障しにくくした。従来のLED照明に比べて耐熱性も高め、耐用期間を水銀灯の約3倍の4万時間に延ばした。消費電力は750ワットで1000ワットの水銀灯と同等の明るさを確保した。
「原子力発電所の内部は頻繁に立ち入ることが難しい。照明器具は高所に設置することもあり耐用期間が延びるほど交換の手間が減らせる」(エクセル)としている。
エクセルは福山市の工場で生産を本格的に開始。まず中国電力の島根原発向けに30基のLED照明器具を納入した。商社の横田工業商会(広島市)を通じて他の電力会社にも販売する。
照明器具はオープン価格だが、想定価格は80万円前後。将来は年間1億円以上の売上高を見込んでいる。
エクセルは太陽電池に使うシリコンウエハーの受託生産を主力事業として成長してきたが、リーマン・ショックを契機に同事業を分社化。
新たにLED関連事業に力を入れ、交通信号機用のLED電球などユニークな製品を開発している。今回の原発向け照明器具のような付加価値の高い製品を投入し、収益拡大を目指す。
LED関連製品の販売強化で、2011年4月期の売上高は約8億円を見込む。