ダブルクォーテーション
ディスコは発光ダイオード(LED)の発色を安定化する技術を開発した。精密切削工具の一種のダイヤモンドバイトを使い、LEDチップを覆う蛍光樹脂の表面を平坦(へいたん)化することで色むらを解消する。蛍光樹脂表面にできる60マイクロメートル(マイクロは100万分の1)程度の凹凸が1マイクロメートル以下になり、色むらがほとんど発生しなくなる。LED表面の凹凸をなくして色むらを抑える技術の実用化は初めてという。薄型テレビやパソコンなどLEDをバックライトなどに用いる製品の歩留まり改善につながる。
これまで液晶表示装置(LCD)駆動用IC(ドライバー)の接続部の高さを均一にするために使われてきた平坦化装置を応用して、LEDチップの蛍光樹脂表面を加工する。同装置の適用範囲をLED関連にも広げ、年間20―30台の販売を目指す。
LEDの製造工程ではスポイト状の器具で蛍光樹脂をチップに塗布し、樹脂の中にチップを封入する方法が現在の主流となっている。樹脂表面に凹凸があると、チップが発した光が樹脂内部を通り抜けるまでの距離がばらつき、色むらが起きる原因となる。LEDで液晶パネルを背面から照らすタイプのテレビなど最終製品の色表示に影響することがある。
ディスコはスピンドル(回転軸)にダイヤモンドバイトを取り付け、加工物の表面を切削する平坦化装置を持つ。これまで同装置は主に、LCDドライバーを基板に接続する部分を均一な高さにするために使われていた。
同社は09年に顧客の要望を受けて同装置のLED分野への適用テストを実施し、実用化のめどを付けた。国内のほか台湾、韓国、中国などで、LEDチップと樹脂の実装を手がける企業に販売する。需要増が期待できるLED分野へ売り込み、同装置の市場を拡大する。