やさしいあかり グリーン照明 LED
発熱はどうなのでしょうか。
LEDは投入されたパワーのうちおよそ20%しか光とならず、80%が熱になります。普段、LEDを搭載する照明器具を使っても、光からは発熱を感じませんが、LED素子レベルでは発熱しています。LEDは電源を入れて時間が経過するとともに温度が上昇し、効率が低下しているのです。また、青色LED素子に塗布されている蛍光体が、熱によって特性が変化します。結果として、白色の製品も色度点が変化していきます。中でも、高演色なLEDは赤系の蛍光体を利用しています。これが熱に弱く特性が低下しやすく、色度だけでなく演色性も変化します。熱による変化はLEDによって個体差があるため、初期状態で特性が揃っていたとしても経時変化や温度変動によってバラツキが現れ、輝度や色ムラとなる可能性があります。LED素子は半導体技術の慣習から、25℃環境下でのスペックが示されていますが、実際使用している時の温度はもっと上昇しています。また、多くのLED製品は光束の保証はありますが、光の質(色度、演色性など)の保証はされていません。これは大きな問題です。
その他にはどのようなことが問題となっていますか?
LEDはまだ新しい技術のため、開発スピードが早く性能向上も著しいです。このため、1年で技術が陳腐化していきます。しかし、照明デザイナーが手掛けるプロジェクトなどは、1~3年といった長期に渡って行われるものが多く、LED照明器具のスペックを決めていざ納入するといった段階になったときに、器具やモジュールが新製品に切り替わっているため、入手できないことがあります。同じ物に交換したくても、この世に存在しないのです。こういった導入時には見えない問題が後になって判明し、コスト増を招くことがあります。しかし、これでは従来の照明に比べて使いづらく、LEDが敬遠される要因になりかねません。
これに対する御社のソリューションとはどういったものですか?
当社では、独自開発の改良型コールド・フォスファー・テクノロジー技術を採用しています。従来のLEDは素子と蛍光体が直接接触しているため、熱により蛍光体の特性が変化してしまうことが課題でした。そこで、図2のように、青色LED素子を使用してモジュール内で蛍光体と混合させて白色の光を作り出しています。蛍光体はモジュール内部の壁面に塗布し、直接LED素子に接触させない中空構造にしました。LEDは光に熱がないので離すと熱の影響が劇的に軽減されます。中空にしたことで、空気が非常に良い断熱材となっているのです。また、モジュールの光学設計により、ほぼランバーシアンに近い素直でバラツキの無い配光特性が得られ、従来の反射鏡制御が簡単にできます。さらに、一般のLEDでは製造後にビンで分類するのに対し、当社では、全てのビンのLEDを使用しながら、輝度と色度を個体間だけでなく温度、寿命に渡って安定したモジュールを光学設計によって合わせ込んで製造しているため、個体差がありません。色のばらつきは、MacAdam 1×2-Stepの範囲内に収められる、均一な光を実現しました。黒体軌跡に乗った自然な白色光表現を可能にしています(図3)。Xicatoは青色LEDの特性と蛍光体の特性を分析し、どのLEDとどの蛍光体を組み合わせると、どのような光になるのかノウハウを保有しています。