やさしいあかり グリーン照明 LED
会社設立の経緯を教えてください。
事業開発本部長 海東登氏
当社は、2007年にLEDメーカー米Lumileds出身の3名により設立されました。LEDの長所を生かしつつ、現在使われている既存の光源と比べて、性能的でも光の質においても、妥協することないモジュールを開発・販売することをコンセプトとしています。販売するモジュールは、業界最高の性能を有しており、エンドユーザーから照明デザイナー、照明器具製造業者に至るまでオープンな関係を築くことで、欧州を中心に多くのアミューズメント施設や美術館、レストラン、店舗などに採用された実績があります。
日本国内はいかがですか?
日本では知名度を上げるため、“光の質にこだわっている”ということを知っていただくことが重要と考えています。販売先の照明メーカーさんや利用するユーザーさんに知ってもらうため、著名な照明デザイナーの方々にご評価頂いており、大変良い反応を頂戴しています。昨年末には、東銀座のレストランを貸し切ってパーティーを企画しました。そのパーティーでは、店内の照明を全て当社のものに交換し、料理を演出しました。特にプレゼンテーションをやるような発表会ではなく、照明による空間演出を楽しんでもらおうと企画したところ、多くのデザイナーの方々にご参加いただき、成功裏に終えることができました。
従来のランプと同じように扱えるLED照明を製品化にするには、どのような点に注意しながら開発していくのでしょうか。
LEDはたくさんの良い特徴を持っています。日本国内では、東日本大震災の発生以降、節電への関心が高まっていることもあって、小型で低消費電力、長寿命ということがマスメディアでたくさん取り上げられました。低消費電力であること以外にも、ガラスを使わないため壊れにくい、光に熱が含まれてない、調光が容易、瞬時点灯できる、水銀を含まない、従来の光源より自由な照明デザインができる、などといった優れた特徴を持っています。しかし、デザイナーさんが使われるような照明器具に見合う品質の光を作ろうとすると、技術的に高いハードルが存在します。課題は、発光特性のバラツキ、微小点光源、発熱、急激な性能向上への対応などで、これらの要因を考慮した上で開発しなくてはなりません。
バラツキとはどういったものですか?
照明用の白色LEDは、青色LEDに蛍光体を付加することで作られています。この構造がバラツキの要因となっています。要因は大きく2つあります。1つは青色LED自体のバラツキで、輝度や波長、配光などに起因するもの。もう1つは蛍光体のバラツキで、蛍光体の粒子の大きさ、密度、塗布厚などが原因となります。これらが白色LEDの輝度や色度に大きな影響を及ぼします。
バラツキのあるLEDをモジュールの作成に利用するのですか?
LED照明器具を作成するには、一般にLEDメーカーから白色LEDを購入して組み立てます。白色LEDを購入する際には、図1のようなビニングに分類された状態で供給を受けます。しかし、LEDメーカーからは所望するエリアのビニングのLEDだけを購入できません。このため、照明器具メーカーでは、所望するビニングから外れたLEDも利用しています。このため、同じ機種のLED照明器具でも光の質にバラツキがあり、完成後に検査して色が揃っているものを組み合わせるなどの作業が発生します。また、LEDは微小点光源であり、照明器具として使用するとき、複数のLEDを実装しないと必要な明るさが得られません。しかし、工夫なく複数のLEDを実装すると、ホット・スポットが発生し不均一な光になったり、たくさん影が発生するマルチ・シャドウができてしまいます。このため、LEDの特性を考慮して設計する必要があります。ホット・スポットの除去には、高度な光学設計が必要となります。