LEDコラム第37回:LED Next Stageレポート - LEDのポータルサイト - LEDLED

やさしいあかり グリーン照明 LED

第37回:LED Next Stageレポート
LED Next Stageが3月7日~9日の3日間、東京ビッグサイトで開催されました。来場者数は6万9191人。同時開催の展示会との合計は23万6155人と大規模な展示会となりました。LEDの次ぐ照明技術として注目されているのが有機ELです。すでに、各メーカーからサンプル出荷が開始されており、売れ行きも好調のようです。今回は有機ELと特殊なLED照明を取り上げたいと思います。

LED Next Stageレポート

今回の展示会はLEDを中心にした展示会ですが、有機ELが数多く展示され、各メーカーの有機ELの展示スペースには、たくさんの人が集まっていました。パナソニックは、「ELeaf」ブランドで展示しました。Ra90の高い演色性と3000cd/m2の高輝度を実現。厚さ9mm、枠幅11mmと薄型・狭枠のコンパクトなデザイン性により、建築や設備と融合する薄型照明器具への採用をアピールしていました。モジュールサイズは102×95mm、発光効率は17 lm/W、調光可能範囲は3~100%となっています。

パナソニックのブランド、「ELeaf」
パナソニックのブランド、「ELeaf」
パナソニックのブランド、「ELeaf」
パナソニックのブランド、「ELeaf」


東芝は、携帯できる有機EL照明を展示しました。同製品は、昨年の東日本大震災発生後に被災地で配布されたものです。被災地の避難所向けに手元の明かりとして使用してもらうために作られました。避難所は電源環境が不十分なため、USB電源による充電機能を搭載した他、3段階で調光できるようにしてありました。
この他、LEDと有機ELを融合させた組み込みペンダント照明を参考展示しました。点灯・制御回路を一体化した薄型照明で、鋭く直進的な光を照射する点光源のLEDと、広範囲を優しい光で照らす面発光の有機ELを融合させ、「部屋全体を照らしたり、食事の時はテーブルを中心的に照らしたりなど、2つの光源の特徴を生かしたライティングができる」とアピールしていました。
九州のベンチャー企業、イー・エル・テクノも有機ELの試作品を展示しました。同社は、三洋電機とイーストマン・コダックの合弁会社で有機ELディスプレイを開発していた技術者が立ち上げました。今回、開発品を初展示しました。パネルのスペックは、発光効率が40 lm/W、輝度が3000cd/m2、寿命が1万時間、演色性がRa80、色温度が3000Kとなっています。
NECライティングは透明有機EL照明を展示しました。2枚の透明ガラスの間に有機EL素子が形成され、貼り合わせてあります。透明のため、もちろん両面から発光します。こういった、今までにない照明が作れるのも有機ELの特徴です。この透明パネルを窓にはめて“光る窓”や、車の照明として利用して透明な天井にしたりなど、様々シーンでのユニークな利用法が想定されています。
有機EL照明では、フィルム化した曲がる照明を作ることも可能で、これまでの照明の概念を大きく変える可能性を秘めています。今後の開発が楽しみです。
東芝は、携帯できる有機EL照明を展示
東芝は、携帯できる有機EL照明を展示
イー・エル・テクノの有機EL試作品
NECライティングは透明有機EL照明を展示
NECライティングは透明有機EL照明を展示


LEDの特殊照明では、東芝が、フランスのルーブル美術館の照明改修プロジェクトに参画し、採用されたLED照明をブースに展示しました。専用に開発した照明3200台のうち350台が設置されており、これまでのキセノンランプを光源にしたライトアップ照明を踏襲しつつ、消費電力を73%削減しています。東芝は2011年6月にパートナーシップを締結しており、4月に完成が予定されているナポレオン広場の改修工事を進め、クール・カレ(方形の中庭)の照明についても2013年の完成を目指しているとのことです。
東芝のLED特殊照明
東芝のLED特殊照明
東芝のLED特殊照明
東芝のLED特殊照明


サンケン電気は、半導体などのフォトリソグラフィー工程が行われるクリーンルーム向け蛍光灯型照明を紹介しました。波長500nm以下をカットし、高感度の感光材料を使用するのに最適な照明環境を実現しています。LEDと専用電源の組み合わせにより、トータルでの高効率を実現、消費電力を50%削減しました。チラツキの少ない定電流駆動を採用している他、従来の蛍光灯と同じ口金を採用しており、設置も簡単です。
星和電機は、車載用のインジゲータ用青色LEDを展示しました。従来のインジゲータ用LEDは20mA駆動でギラギラと眩しい青色でした。このギラギラ感を解消するため、5mAまで電流を下げて駆動すると、今度は色にバラつきが出てしまい均一な発光ができませんでした。同社は発光素子から一貫した生産体制と独自の選別技術により、ドミナント波長を最適化。5mAの定電流でも波長450nmのバラツキのない鮮やかな青色を実現しました。
サンケン電気のクリーンルーム向け蛍光灯型照明
星和電機の車載用インジゲータ用青色LED


[上原清志,LEDLED]

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