やさしいあかり グリーン照明 LED
第20回:CEATEC JAPAN 2011 レポート
アジア最大級のエレクトロニクスとITの展示会「CEATEC JAPAN 2011」が10月4日~8日の5日間、幕張メッセで開催されました。今回は総合電機メーカーのLEDに関連する製品や展示についてレポートします。コンシューマ製品だけでなく、産業向け製品を多く手がけており、大規模なシステムの数々に来場者は関心を寄せていました。
大規模システムからコンシューマ製品まで
日立製作所は総合家電メーカーである強みを最大限に生かし、省エネ・創エネの観点からスマートグリッドに使われる大規模システム、各家庭に設置される燃料電池や太陽電池の効率的な利用法をサポートするHEMSシステムなどをアピールしました。その一環として、LED照明も省エネのアピールに一役買っていました。10月に発売した住宅用照明器具「LEDシーリングライト」は、独自の「ダイレクト照射方式」を採用し、たくさんのLEDを搭載しても熱を効果的に逃がす大型放熱構造で大光量でありながら高い省エネ性能を実現しています。 また、2つのLEDモジュールを半球状の樹脂で覆った「ドーム型LEDユニット」を形成しており、ドーナツ状に配置するとともに、カバーとの距離を最適化することでダイレクトに照射してもLED光源の発光部が目立つことなくカバーがきれいに光るよう設計されています。機能面では、あかるさセンサーにより、部屋の明るさを検知してあらかじめ設定した好みの部屋の明るさを保つ "eco"これっきりボタンを搭載。外光などで明るいときは自動で減光し、明るさが十分なときは消灯もして消費電力を抑えます。調光機能では、100%~約5%まで明るさを調整できる連続調光機能があり、好みの明るさを設定できます。さらに、調色機能もついたAHタイプでは昼白色に近い白い光から電球色に近い暖かみのある色まで光の色も調整できます。取り付けも簡単で、一般的な照明器具で使用されている引掛シーリングをそのまま使用できます。
LEDを使った製品では、液晶TVで独自のバックライト技術を搭載した新製品「L46-S08」を発表しました。 バックライトを各エリア(ブロック)に分割して発光をコントロールするもので、独自の制御アルゴリズムにより、LEDバックライトの光を効率よく制御します。これにより、消費電力が削減させながら、映像の明部は高輝度を維持し、映像の暗部では黒をより黒らしく表現することが可能となり、高いコントラストと階調表現の豊かな映像を描き出します。
節電小画面機能では、必要に応じて画面サイズを切替えることで非表示部分のバックライトの発光を抑えて、さらなる節電に貢献することが可能。また、「人感節電センサー」を搭載することで、ユーザーの視聴状況を感知し、視聴していないと判断した場合は画面を消して自動的に節電モードに切り替わります。さらに、視聴環境や映像の明るさ、番組ジャンルに応じて最適な高画質に自動調整し、省電力化にも貢献する「センサーオート」モードに加え、明るい映像においてバックライトの発光を自動で抑えて節電に貢献する「センサーオートe」モードにも対応しています。
TVでLEDとレーザーが融合
同じく総合電機メーカーの三菱電機も様々なLED製品を展示しました。開発品では、「レーザーバックライト液晶テレビ」を展示しました。赤色の半導体レーザーとシアン色のLEDという2つの光源を組み合わせて構成。シアンは緑と青の中間色で、レーザーの赤色を加えて、RGB3原色を発光します。これを用いることにより、白色LEDをバックライト光源に用いた現行機種と比較すると、色再現範囲をNTSC規格比では約126%と、約1.3倍まで拡大させることができます。レーザーを利用することで、特に赤色の再現範囲が拡大するとのことです。屋外型デジタルサイネージスクリーン175V型「オーロラビジョンLED ODT6S」は光源にLEDを用いたLEDディスプレイで、最大輝度は5000cd/m2。薄型・軽量でファンレス構造となっており、三菱では駅構内の線路脇サイネージなどシステムの薄さが求められる用途向けに提案していく考えです。大画面ディスプレイでは、屋内設置向けに有機ELオーロラビジョンも展示していました。
LED照明では電球や蛍光管などを展示、低消費電力、長寿命などのLED照明の基礎的な説明の他、蛍光管タイプでは切り替え方法について、既存の蛍光灯照明器具を生かしたLEDへの交換、蛍光灯照明器具と同じ形状で違和感なく器具を交換する、照明器具ごと交換するという3種類の方法について説明を行なっていました。
有機ELとの融合も
パイオニアは有機EL照明とLED照明を組み合わせた試作品を展示しました。レストランをイメージしたブースに開発品の照明を設置し、間接的な光で演出したい場合は点光源のLED、全体を明るくしたいときは面光源の有機ELを利用します。有機ELはLEDに比べたら発光効率や寿命など性能はまだまだですが、面光源であることや、優しい光で照らせることなど、LEDにはない特徴をアピールしていきたいとのことです。また、今回のパネルは調節すると、フルカラーで様々な色で照らすことできるなど、有機ELならではのユニークな特徴を有しています。パネルは14cm角で、発光効率は20~30 lm/W。輝度70%減までの寿命は約7000時間です。[上原清志,LEDLED]