やさしいあかり グリーン照明 LED
第18回:CEATEC JAPAN 2011 レポート
アジア最大級のエレクトロニクスとITの展示会「CEATEC JAPAN 2011」が10月4日~8日の5日間、幕張メッセで開催されました。今回の展示会は、東日本大震災の影響を受けて、これまでの"創エネ・省エネ"といったエコなキーワードに加えて、新たに"節電"をテーマとした展示内容が多く見受けられました。節この一貫として、多くのメーカーがLED関連製品を紹介し、注目を集めていました。今回も引き続き、CEATECをレポートします。
ガラス封止LEDをクリスマスツリーでアピール
スタンレー電気は、ガラス封止LEDを展示しました。LEDパッケージの大半にエポキシ樹脂やシリコーンが用いられていますが、水分や太陽光からの紫外線に晒されると劣化してしまいます。同製品は、パッケージ素材にガラスを利用しているため、耐湿性・耐水性・耐紫外線性があり、屋外での使用に適しています。また、樹脂パッケージではLEDチップを、パッケージに埋めこまれているような位置に実装する形になるため、光を一定の角度からしか取り出せませんでした、これに対し、ガラス封止ではチップがパッケージ内を浮いているように中空構造で実装できるので、発光部の光をほぼそのまま利用できます。このため、むらの少ない指向性と極小点発光による艶のあるきらめき感を実現しており、イルミネーションなどにおいて上質な光を提供できるとのことです。スタンレー電気では、早ければ年末年始から、遅くしても来年春までには製品化する予定です。LEDストロボは携帯電話カメラ用で、小型、高出力、最適配光特性により、画像撮影の補助光源として利用します。携帯電話向けでは、小型化することが重要で現在のサイズは23.4×9mm。中心光量は130 lx、配光特性は上下左右64度、光漏れを0.2%に抑え、光学SIM技術によるレンズ効率は300%を実現しています。また、熱伝導チップの開発により、VFの上昇を抑え、光量の安定化などを図っています。 同製品は、パナソニックの携帯電話カメラ向けに実績があり、ブースには実機も展示されていました。ブースでは、自動車用ヘッドライトや車載、屋外灯、ディスプレイ向けなど様々な用途の製品を紹介していました。
LED光源にシリコーン製品を被せてL発光色をカスタマイズ
朝日ラバーは、キャップ付きLED「ASA COLOR LED」を展示しました。同製品は蛍光体を配合したシリコーン製ゴムキャップを青色LEDに被せることで、1万色以上のバリエーションでLEDが提供しているものです。独自の色と光の制御技術を生かし、中間色や調色、色と明るさのばらつきが少ない製品が特徴となっています。様々な色を標準化することで、ユーザーが求める調色のスピード向上や色度スペックの狭小化が可能となり、低価格で対応することができるとのことです。同社では、ANSI規格外のハロゲンランプやキセノンランプ、HIDランプ向けやネオジム色も提供しています。 この他、開発品として照明器具やモジュール向けの蛍光体シートを展示しました。LEDモジュールにシート状の蛍光体で覆うことで、簡単に色調を変化させることができる製品です。LED光源が5000Kなら、3000/3500/4000/4500Kへの変換させることができ、特殊な色調にも柔軟に対応可能です。様々な形状にもカスタムで対応できるとのことです。LED照明による可視光通信をシステム化
タムラ製作所はLED照明の光で通信を行うタブレットPC向け可視光通信アダプタを参考展示しました。LED照明の明るさを高速で変化させて情報伝達するもので、電波の影響を受けやすい精密機器の周辺でも安全に利用できる通信方法として注目されています。例えば、病院や工場など携帯電話や無線LANの使用が禁止されている場所でも利用できます。また、人の目で見える光を利用することから、通信の確認がしやすく、遮断も容易にできます。このため、情報漏えいのリスクを軽減することも可能です。ブースでは可視光通信をさらにシステム化した試作品として、インターカムを使った会話をLED照明を通して可視光通信で行う製品を紹介しました。ヘッドセットの受発光部でLED照明を信号と子機の赤外光信号で送受信を行うもので、通信距離は照明から3m。照明を追加するごとに通信範囲を広げることができます。同時通話も4台まででき、親機を電話回線につなぐと遠隔地との通話もできます。[上原清志,LEDLED]