やさしいあかり グリーン照明 LED
第11回:ライティング・フェア2011 レポート
LEDの性能向上により、特別な用途向けにカスタマイズされた製品など、様々なものが登場するようになってきました。今回のライティング・フェアでは、Ra90を超える高演色性を有する製品から、人間の視感度に合わせて設計された素子、多様な色覚者が一様に見分けやすい色にカスタマイズされた光源など、一歩先をいく製品が数多く展示されました。
電球、蛍光灯を超える性能と品質を実現
コイズミ照明は、住友化学と共同で新発想のLED照明を展示しました。コイズミの光制御技術と住友化学の化学技術を組み合わせることで、導光板を使用したフラットな配光を実現しています。直下型LED照明とは異なり、導光板を通したムラのない均一な光でまぶしさを抑え、目に優しいのが特徴です。蛍光灯器具FL40W×2と比較して、消費電力は約20%削減でき、下方光束は4000lm、70%に減束するまでの光束維持率は40000時間の長寿命となっています。1日10時間点灯で約10年間ランプ交換が不要です。Xicato Japanは、Corrected Cold Phospher Technology(改良型コールド・フォスファー技術)を用いたLEDモジュール「XSM」および「XLM」シリーズを展示しました。改良型コールド・フォスファー技術は、LEDチップと蛍光体の間を中空構造になっているのが特徴です。LED素子と蛍光体が接触しておらず、LEDの光は熱を含まないため、従来のLED素子のように蛍光体が高温になりません。一般的に、LED素子を安全に使うためには、LEDの基板温度を70~90℃に保つ必要があります。従来の構造では、素子と蛍光体が接触しているため、高温となり色が変化してしまいましたが、中空構造にすることで防ぐことができます。また、色のばらつきも最小限に抑えられ、指標とされるMacAdamでは1~2-Stepの範囲内に収められ、均一な光を実現しています。「同社は、ホテルなどのラウンジなど、高品位な明かりが求めるユーザーに訴求していきたい」(説明員)とのことです。
三菱電機照明は、「Puyo」シリーズを展示しました。シリコーン素材を採用したことで、ぶつけても落としても割れない照明器具となっています。ペンダント、ダウンライト、ブラケットなどの器具形状により、店舗空間のアクセントからベースライトとしての使い方が自由自在です。消費電力は10Wで、ハロゲンのダウンライトに比べ約80%の省エネ、CO2の排出量は年間約51.6kg削減しました。
光源寿命は5万時間。色温度は3000k、演色性(Ra)は90、光束は360lm。
DNライティングは、演色性(Ra)95以上を実現したLEDを出展しました。紫色LEDとRGB蛍光体を使用し、光の質を追究した製品で、特殊演色評価数も全て90以上という超高演色を実現しています。色の再現性が求められる店舗の商品照明、自然に近い雰囲気を求められる間接照明に最適とのことです。また、紫励起系白色の場合、RGB蛍光体の色度は不変で、均一分散により色温度は一定となります。
コイズミ照明は、Ra92の高演色性を有するハイパワーLEDシリーズを展示しました。物販店舗において、的確で高効率なライティングが不可欠となっています。これまでは、演色性を高めると、反比例して照度が落ちていましたが、オリジナル光学制御レンズにより、光取り出し効率を向上させ、ムラの無い均一な配光を実現しています。漏れ光を抑えたシャープな光、ソフトエッジな光の輪郭で、照射物への的確なライティングが可能となったそうです。
岩崎電気は、400Wタイプの「LEDioc FLOOD BLITZ」を出展。高性能反射鏡の採用により、自然な光の広がりを実現しており、HIDランプの高ワットタイプ(1kW程度)と比較して、同程度の明るさで61%の省エネを実現しました。また、待機時間なしですぐに点灯/消灯できるのも特徴となっています。LEDモジュール寿命は4万時間で、10年間ランプメンテナンスフリーです。
山田照明では、双方向無線通信による照明制御技術などを展示しました。天井照明やデスクライトなどに村田製作所製の無線通信モジュール「ZigBEE」を組み込んで照明器具を一括制御する技術で、光センサや人感センサを組み合わせ自動で調光するシステムとなっています。無駄な照明を削減することで、従来以上の省エネが期待できます。
パナソニック電工は、夜道が明るく見える防犯灯「アカルミナ」を展示しました。同製品では、人間の目が明るい場所では錐体、暗い場所では桿体と、明暗で働く細胞が異なることに着目。目の感度が最も高くなるのが、明るい場所では555nmなのに対し、暗く場所では目の感度が高くなるにつれ、短波長方向にシフトし507nmと変化します。これをプルキンエ現象と言います。アカルミナでは、507nmに近い波長を多く含む光源を採用しました。これにより、暗い空間を明るく、周囲も見やすく、照度が引く部分も明るく見せることに成功しました。
星和電機は、多様な色覚者が一様に識別できる赤色LEDを展示しました。赤色は人の行動を制御する要素があり、重要な意味を持つ色です。例えば、信号や車両のストップランプ、パトカーや救急車の回転灯など交通インフラでは重要なメッセージを発しています。そこで、星和電機では一様に人が識別しやすいように発光スペクトルを従来品に比べ、ピークの幅を広めました。
[上原清志,LEDLED]