やさしいあかり グリーン照明 LED
第10回:ライティング・フェア2011 レポート
ライティング・フェア2011(第10回国際照明総合展)が3月8日~11日まで東京ビッグサイトで開催されました。昨年のLED電球のブレイクから、今年はいよいよ普及機に入るタイミングということもあり、3日間で60085人と多くの来場者で会場は溢れかえりました。最終日は、東日本大地震が発生し、途中で閉幕する残念な形となりましたが、照明業界だけでなく日本の未来を明るく照らしてくれる産業になってほしいものです。
直管形LEDは2つの規格に分かれるか?
LED照明の勢いが以前にも増して活発となっています。2010年の照明の国内市場は7500億円で、このうちLEDが700億円となりました。世界市場でも5.5兆円のうち、10%を占めています。2015年には8.8兆円まで成長し、60%がLEDになるとの予測もあります。また、「2010年消費にかかわる生活者調査」では、スマートフォンやiPadなどを抑え、LED電球が1位に輝きました。このように飛ぶ鳥を落とす勢いのLEDですが、今年はさらに普及を加速させるキラーアイテムが登場します。蛍光灯のような直線光源として「直管型LED」が規格化されたことで、新たなニーズが創出される見込みです。大手メーカーでは、パナソニック電工、東芝ライテック、三菱電機オスラム、日立アプライアンスなどがこの直管型LEDに注力しています。パナソニック電工と東芝ライテックは推進してきた「JEL801」規格の直管型LEDを出展しました。JEL801では、ランプ全光束2300 lm、演色性(Ra)80以上、配光120度以内の光束が70%未満、ランプ電流350mA、ランプ電圧45~95V、最大ランプ電力33.3Wと定めらされています。また、蛍光灯用の口金と異なる形状を新たに開発し、ランプの誤挿入を防止します。片側のみ電極があり、もう一方は支える突起のみです。このため、写真のような点灯も可能となります。挿入後は回転させて保持する機構を採用しており、落下を防ぐなど安全性も配慮されています。
パナソニックの同規格に適合したランプは、ランプ全光束で2400 lmを実現。演色性Ra84、4万時間の使用後の光束維持率は95%となっています。これらの製品は、一体型蛍光体やチップを均一に配置し、蛍光体で一括封止するなどの独自技術が盛り込まれています。
東芝ライテックは、20/40形を蛍光灯と並べて展示。LEDを並べた直管形ランプのつぶつぶ感やむらが無く、蛍光灯と光の品質が同等であることをアピールすると同時に消費電力の優位性を示していました。
これに対し、日立アプライアンスは、三菱電機オスラムと別規格で直管形LEDランプの発売を目指しています。現在、日本電球工業会に規格化を求めており、販売しやすい環境を整備していくそうです。日立と三菱が進める規格はJEL801と異なり、従来の照明器具をそのまま活用し、従来のランプ交換の手順で蛍光灯をLED化できます。写真のように簡単に交換できるのが特徴です。ランプ本体に付く口金ピンはランプを器具から支える役目のみで、電気接続には使用せず、初回に取り付ける電源から直接接続して使用します。このため、新設だけでなく、既設器具のリニューアルでき、廃材を大幅に削減できます。
日立の展示ブースで参考展示された製品は20/40/110形の3種類で、外郭は破損しにくいポリカーボネートを採用、蛍光灯器具からのリニューアルでは、同等の照度で約40%の省エネを達成したことなどをアピールしていました。
[上原清志,LEDLED]