やさしいあかり グリーン照明 LED
第3回:Green Device 2010 レポート
LEDと言えば電球が注目されてきましたが、シャープに続き、パナソニック電工も11月8日に、直管形LEDランプ搭載の専用照明を発表しました。発光効率に優れているため、LED専用の照明器具も今後は注目されてきそうです。今回は、11月10~12日に幕張メッセで開催された「Green Device 2010」をレポートしたいと思います。
LEDならではの特徴をアピールした照明器具
Green Deviceは、LED、太陽電池、パワー半導体、2次電池など、低炭素社会を支えるデバイスと製造技術に特化した展示会で、フラットパネルディスプレイの展示会「FPD International」と同時に開催されました。LED関連では、照明やLEDパッケージや部材などが多数展示されました。シャープは、シーリングライト、スクウェア照明、やダウンライト、ストレート照明、看板モジュール、LED電球などを展示しました。シーリングライトは、最厚部43mm、最薄部8mmの薄型デザインになっています。「DL-C501V/C301V/C302V」は、リモコン操作で光の色を変えられる調色機能、明るさを変えられる調光機能を搭載。生活シーンや用途に合わせて合計110通りの光色と明るさを選べます。また、3つのエコ機能により、最大約65%の省エネを実現します。「エコあかリズム」機能は、一日の明かりを自動で調色・調光でき、朝は寒色系の明るい光、夕方は暖色系の光でくつろぎを促すなど生活サイクルにあった照明プログラムが設定可能です。 店舗など看板用モジュールでは、専用LEDモジュールを採用しました。これまで約30cm角の看板で4個のLEDモジュールが必要でしたが、新型レンズにより光の放射角度をさらに広げ、搭載個数を2個に削減しているそうです。
自動車向けはまず高級車から
オランダPhilips Lightingは、自動車ヘッドライト向けハイパワー白色LED「ILUXEON Altilon」シリーズを展示しました。ロービームは2チップ1パッケージと4チップ1パッケージ、ハイビームは4チップ1パッケージをラインナップしています。1A当たりの光束はMin600lm、Typ800lm。最大駆動電流は1000A。最大ケース温度は130℃。色温度は5600K。ブースには同照明を搭載したドイツAudiの自動車が展示されていました。また、ILUXEON Altilonを使った高効率コンパクトライトユニットも展示。レンズ先端からLEDチップまでの距離は9cm。60mmの非球面レンズを採用しています。植物工場からインテリアまで幅広いラインナップ
三菱化学は、店舗向けのインテリア照明から産業用までLED製品を幅広く紹介しました。インテリア照明では、服飾関連のショップをイメージし、超高演色のLEDを使った宝飾・ネイルアート用照明などを紹介。この他、LEDを太陽の代わりにLED照明を用いた植物工場の提案を行いました。屋内で育てるため、場所を選ばず、農薬なしで安心・安全、しかも天候に左右されないため計画的な生産ができるといった特徴があります。LEDでは、植物の成長を促す有効波長を照らします。また、同社が手掛ける太陽電池や水耕栽培システム、断熱材、水処理システムなどもトータルで提案していくようです。耐久性重視の高機能LED
豊田合成は、ガラス封止LEDパッケージの開発品を参考展示しました。材料には封止ガラスとセラミック実装基板を使用し、全て無機物を使用することで膨張率が揃えてあります。このため、温度変化にも強く光量低下が少ないのが特徴です。サイズは1×1×0.95mm。これを自社でパッケージ化し、カスタマイズで対応していくとのことです。サンプル品として、36個のパッケージを正方形に実装したものや24個を直線に並べてもの、9個パッケージを7つ配置して電球型にしたものなどを紹介していました。用途としては、パッケージ化および線状光源化したものを工場の検査装置用照明など、特殊用途の光源としての採用を見込んでいるとのことです。
LEDと親戚!? 有機EL=有機LED
この展示会は、照明用有機ELの展示も多かったです。有機ELはディスプレイ技術であり、LEDとは関係ないと思われがちですが、欧米では「Organic Light Emitting Diode=OLED」、“有機材料を使ったLED”と呼ばれており、発光原理が似ています。LEDは小さなチップが発光する点光源ですが、OLEDはパネル一面が発光する面光源であり、LEDに次ぐ新たな照明として注目されています。また、プラスチック基板を用いて、フレキシブルに曲げたり、半透過にしたりなど、これまでの照明と違った新しい使い方ができるのも特徴となっています。ブースでは三菱化学の他、有機EL材料メーカーである出光興産や住友化学、台湾のディスプレイメーカーAU Optronics(AUO)などが有機EL照明を展示しました。[上原清志,LEDLED]